お知らせ
令和2事務年度における相続税の調査等の状況が公表されました。
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ポイント
新型コロナウイルス感染症の影響で実地件数が大幅に減少
大口・悪質な不正が見込まれる事案を優先して実施
国税庁から、令和2事務年度の相続税の調査等の状況が公表されました。
令和2事務年度の相続税の調査は、新型コロナウイルス感染症の影響で実地調査件数が大幅に減少しています。
しかし、国税局等で収集した資料情報等のほか、租税条約等に基づく情報交換制度、CRS(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)から大口・悪質な不正が見込まれる事案を優先して調査が行われています。
1.調査件数等
新型コロナウイルス感染症の影響により、実地調査件数は5,106件(前事務年度10,635件)、申告漏れ等の非違があった件数は4,475件(前事務年度9,072件)といずれも大幅に減少していますが、非違割合は87.6%(前事務年度85.3%)と増加しています。
また、実地調査件数の減少で申告漏れ課税価格も1,785億円(前事務年度3,048億円)と大幅に減少しています。
しかし、実地調査1件当たりの申告漏れ課税価格では3,496万円(前事務年度2,866万円)、1件当たりの追徴税額(加算税を含む)では943万円(前事務年度641万円)といずれも増加しています。
なお、実地調査件数の減少で重加算税の賦課件数も719件(前事務年度1,541件)、賦課割合は16.1%(前事務年度17.0%)と減少しています。
2.申告漏れ相続財産の状況
調査により把握された申告漏れ財産の構成比をみると、現金・預貯金が30.1%、有価証券が16.1%、土地が10.7%となっており、現金・預貯金等及び有価証券の申告漏れウエイトが46.2%(前事務年度43.9%)と増加しています。
今後の相続税の調査においても引き続き、現金・預貯金等及び有価証券の把握に重点を置いた調査が行われると予想されます。
3.無申告事案に係る調査結果
相続税の申告義務があるにもかかわらず無申告となっている事案の調査が行われた結果、調査件数は462件(対前事務年度比42.9%)、申告漏れ件数は409件(対前事務年度比44.4%)、申告漏れ課税価格は455億円(対前事務年度比50.2%)となっています。
いずれも新型コロナウイルス感染症の影響により減少していますが、無申告事案の1件当たりの追徴税額は1,328万円(前事務年度897万円)と大幅に増加(対前事務年度比148.2%)しています。
4.海外資産関連事案の申告漏れ
海外資産関連事案に係る調査は、納税者の資産運用の国際化に対応し、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)などを効果的に活用するなどして、海外取引や海外資産の把握が行われています。
調査件数は、551件(前事務年度1,008件)、申告漏れ件数は96件(前事務年度149件)、海外資産に係る重加算税賦課件数は9件(前事務年度25件)と新型コロナウイルス感染症の影響により減少しています。
ちなみに、海外資産に係る申告漏れ課税価格は34億円(前事務年度77億円)、非違1件当たりの申告漏れ課税価格は3,579万円(前事務年度5,193万円)といずれも減少していますが、国内資産を含めた非違1件当たりの申告漏れ課税価格は6,430万円(前事務年度4,642万円)と大幅に増加(対前事務年度比138.5%)しています。
今後もこの傾向は続くと予想されますので、相続税の申告に際しては、相続人等の海外資産の確認をすることが不可欠と言えます。
◎ 詳細につきましては、国税庁ホームページ>お知らせ>報道発表>国税庁発表分>「令和2事務年度における相続税の調査等の状況」をご参照ください。